境界のない形質:機能の多様性をスケール横断的に統合する

Traits Without Borders: Integrating Functional Diversity Across Scales
Carlos P. Carmona , Francesco de Bello, Norman W.H. Mason, Jan Lepš

著者は カルロス P カルモナさん、フランチェスコ・デ・ベロさん、ノーマン WH メイソンさん、ヤン レプスさんで、
チェコの南ボヘミア大学の理学部植物学科で、チェコの研究所で植物学や昆虫学を兼務されている方々と、ニュージーランドのコンサルさんら

機能の多様性(FD)の概念が複雑であるために、異なる多数の方法がFDの測定に利用されますが、そのほとんどは狭い範囲の空間スケールのみで使用できるものです。これはFDの生態学的解釈を不確実なものにするとともに、研究間の比較による結果の一般化や、スケールを横断したパターン比較の可能性も制限してしまいます。私たちは、後述する統一されたフレームワークを提供することと、既存のアプローチを統合することによって、この問題を解決します。形質確率密度(TPD)に基づくフレームワークは、FDの推定において確率的なハイパーボリュームとして、Hutchinsonianのニッチの概念を完全に実装する最初のものです。この新しいアプローチは、生物個体からマクロ生態学までのスケールの様々なFDの成分を定量化することを可能にし、スケール間のシームレスな移行を可能にすることにより、FDに基づく研究に革命をもたらす可能性があります。

【Trends】

  • 機能形質の多様性つまり、他の生物との間の形質の変異は、多くの喫緊の生態学的問題に対処するために使用することができます。
  • しかし、機能の多様性は、異なる空間スケールで評価することができるいくつかの要素を含みます。この概念的な複雑さのため、過剰に異なるアプローチでFDが推定されています。またそれはユーザーの間に混乱を招き、異なる研究の比較の可能性を妨げています。
  • 空間スケール間のシームレスな連続性を確保しながら、さまざまなアプローチを包含する単一の数学的枠組みが必要です。
  • ハイパーボリュームとしてニッチの概念に基づいたアプローチと、確率論的観点での特性を考慮したアプローチとの折り合いをつけることが、統一されたフレームワークの形成に向けた最初のステップです。

TREEの論文

従来の平均やレンジと違って、確率密度関数を用いてやるメリットの手法上の説明が主、これによって解決できる研究上の具体的な課題についての議論はないので、自分で温めているアイディアでもあるのだろうか。
確率密度関数を作成するために大量の形質のデータについては重要な形質は少しだけだからそれに絞ってとればいいと書いてあった・・・

キーワード
Ecological unit 生態学的単位:
 FDを推定するのに意味がある空間。個体、個体群、種、群集、メタ群集、地理的地域、大陸など。

Functional distinctiveness 機能の示差性:
 生態学的単位が他の単位と、機能的特性の点で異なる度合い。

Functional divergence 機能の分岐:
 ある生態学的単位において、機能形質空間における生物の存在量が、機能のボリュームの両端に向かって分布している度合い。

機能の多様性(FD):
生物間の形質の変異。生態学的単位において占められている機能空間についての形質の変異として評価される。他の指標はDFをいくつかの特定の視点から要約しているととらえることができる。

機能の均質性:
 ある生態学的単位の生物らの機能空間上における量の分布の均等さ。

機能的の冗長性:
 同じ形質値を有し、同じ機能空間を占有する場合、2つの生態系のユニットは機能的に冗長であると考えられる。高お冗長性の群集、生態系の機能を大きく損なわず誌、種を失なることができる。

機能の豊富さ:
 生態学的単位における生物によって占められる機能空間の量。