環境ストレスの勾配間において、異なる機能群内の種の豊富さと多様性を比較:岩礁潮間帯のモデル

Saint Francis Xavier 大学(カナダ、ノバ・スコシア)*1の准教授リカルド A. スコロサティらは、「ベントスの機能群内の種数と多様性が沿岸の環境ストレスの勾配に従って変動するのか?」という疑問についてモデルによる予測を行いました。

  • モデルの特徴:これまでのモデルで稀な、固着性の種(海藻・濾過食者)、植食性の種、肉食性の種についても予測
    • 環境-ストレスモデル(ESM;Menge and Sutherland 1987)を機能群多様性の予測へと拡張
  • モデルの検証:垂直(潮間帯の高さ)と水平(波への露出、氷によるひっかき)のストレス勾配で比較
    • ストレス強度の定義:調査は寒いところでやっているので厳しい環境条件を調べている
  • 予測の一致性:
    • 実測と比較して固着性の75%が合致
    • 植食、肉食種双方を移動性の消費者として合わせた結果はまぁまぁ一致
  • 一致性の詳細:
    • 種の豊富さと多様性はストレスの強い生息地から温和(benign)な生息地にかけて増加
    • 固着性の種のほうが移動性よりも一般に早く豊富になった。
    • 固着性種より移動性種のほうが全体で高い種の豊富さがあるとモデルで予想された。
  • ゆえにこのモデルは非生物的ストレスの機能(関数?)としての群集組成の理解に使える。
  • 低いストレスレンジのモデルの予想は地域性のある生物相が生じる南の地域でできるだろう。

Species richness and diversity in different functional groups across environmental stress gradients: a model for marine rocky shores
Ricardo A. Scrosati, Barbara Van Genne, Christine S. Heaven, Cortney A. Watt
Article first published online: 8 JUL 2010
DOI: 10.1111/j.1600-0587.2010.06119.x

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1600-0587.2010.06119.x/pdf

*1:寒そう